「キーン」「ジー」「ボー」…。
静かな部屋でふとした瞬間に聞こえるその音。
誰にも聞こえていないのに、自分だけが感じている「耳鳴り」は、不安を大きくし、心を重たくさせます。
50代を迎え、更年期の入り口に差し掛かる女性にとって、このような症状は決して珍しいものではありません。
実際に多くの方が、病院で検査を受けても「異常なし」と言われてしまい、どうしていいかわからないまま年月だけが過ぎているのです。
この記事では、そんな「長年治らない耳鳴り」の背景にある原因について、東洋医学の視点も交えながら解説していきます。
耳鳴りに悩んでいる方の多くが、まず最初に耳鼻科を受診されます。聴力検査やCT、MRIなど精密な検査を受けるものの、「異常は見つかりませんでした」と言われるケースは少なくありません。
実は、耳鳴りの原因は耳の器質的な問題だけではないのです。
現代医学では、「加齢性難聴」や「突発性難聴」などが見つからなければ、特に治療法もなく、経過観察になることが多いのが現実です。
ですが、耳鳴りが日常生活に支障をきたすほど強くなっている場合、それは「体の他の不調のサイン」である可能性があるのです。
実際、当院に来られる患者さんの中でも、「耳鳴りが始まったのは50代に入ってから」という方が非常に多くいらっしゃいます。
その背景には、「更年期によるホルモンバランスの変化」と「自律神経の不安定さ」が関係していると考えられます。
これらの心身の揺らぎが、自律神経の働きを乱し、耳鳴りという形で現れているケースが非常に多いのです。
東洋医学では、体と心の働きは「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」と呼ばれる臓器のエネルギーバランスによって保たれていると考えられます。耳鳴りは、こうしたバランスの乱れが「耳」という場所に現れたサインともいえるのです。
耳鳴りと深く関係するのが「腎(じん)」「肝(かん)」「心(しん)」という3つの臓です。
この三者のバランスが崩れることで、耳鳴りだけでなく、不眠や不安感、集中力の低下なども同時に起こりやすくなるのです。
特に50代以降は、更年期にともなってホルモンや神経系が大きく揺らぐため、このバランスが一気に崩れやすいタイミングでもあります。
それぞれの臓が乱れることで、耳鳴りのタイプにも違いが出てきます。
耳鳴りのタイプ | 東洋医学的な原因 | 体と心の状態 |
---|---|---|
キーンと高音 | 肝の緊張(気滞) | イライラ、目の疲れ、肩こり |
ジーと蝉が鳴くような低音 | 腎の虚弱(腎虚) | 冷え、疲れやすさ、加齢症状 |
心の状態と連動する音 | 心の不安定(心神不寧) | 不眠、動悸、焦燥感 |
このように、「耳鳴り=耳の問題」ではなく、体の深い部分にある“気・血・神”の乱れとして捉えることが、根本改善への第一歩になります。
当院では、東洋医学に基づく刺さない鍼で「肝」「腎」「心」の調和をはかり、気血の流れと心神の安定を整えることで、耳鳴りの改善を目指しています。
「自分の耳鳴りのタイプが知りたい」「どこが乱れているのかがわかれば、もっと安心できるのに」——
そんな声にお応えして、次回は東洋医学の体質分類をもとにした耳鳴りセルフチェック法をご紹介します。
✅【第2回はこちら】▶あなたの耳鳴りタイプはどれ?東洋医学でわかるセルフチェック法
また、記事の最後に、耳鳴りに関する詳しい情報や実際の症例、費用、治療内容などをまとめた【耳鳴り特設ページ】もご覧いただけます。
大成堂中医針灸院
院長 藤田 勇
脳の反射を利用した刺さない鍼を用いて、
病院で検査や治療を受けても解消しない体の悩みに
どうしていいのかわからない人たちを治療。
大学病院(日本医科大学・自治医科大学)で
計10年以上鍼灸外来を担当。
鍼灸臨床歴20年、のべ19,000人以上を治療。
刺す鍼から、刺さない鍼へ
刺さない鍼は、ハーバード大学で認められた鍼灸治療スタイルと、
中国でレジェンドと呼ばれる老師達に学んだテクニックを組み合わせ、
日本で多くの先生達から学んだ知識と技術、
解剖学、生理学、心理学といった西洋医学の知識、
さらに20年の臨床現場での経験を組み合わせて熟成させた、
大成堂オリジナルの技術。
(昼休み13:30~15:00は電話がつながりませんので、LINEかメールをご利用ください)