静かな場所にいるのに、「キーン」と高音が鳴っている。
寝ようとすると「ジー」という音が気になって眠れない。
いつのまにか当たり前になってしまった耳鳴りに、「もう慣れるしかないのかも」とあきらめていませんか?
第1回・第2回の記事では、耳鳴りの原因が「更年期」や「自律神経の乱れ」、そして「東洋医学でいう五臓のバランス」と深く関係していることをお伝えしました。
今回は、それらの背景をふまえたうえで、自宅でできるやさしいセルフケアを3つご紹介します。
耳鳴りのケアでまず注目したいのが、耳のまわりや精神的な緊張をほぐす「ツボ」です。ツボは単なる“押しどころ”ではなく、気や血の巡りを調整するスイッチのようなもの。以下の3つのツボを、1日に数回、やさしく押してみてください。
🌿おすすめのツボ3選
ツボ名 | 場所 | 効果 |
---|---|---|
翳風(えいふう) | 耳たぶの後ろ、顎の骨と耳の間の隙間 | 耳の気の流れを整える |
完骨(かんこつ) | 耳の下の骨、乳様突起すぐ後ろ | 聴覚神経の安定、耳鳴りに有効 |
郄門(げきもん) | 手首のシワ中央と肘のシワ中央を結んだ線上で、肘より三分の一の場所 | 精神安定、イライラや不安の軽減 |
🌱基本のツボ押しポイント
これだけでも、「なんだかスーッとする」「ふっと耳が楽になる」と感じる方も多くいらっしゃいます。
呼吸は、無意識に自律神経を整える力を持つ、最も手軽で強力なツールです。特に東洋医学では、「呼吸」は気の出入りであり、心身の状態と深くつながっています。
ここでご紹介するのは、「腹式呼吸」と「意識の配置」を組み合わせた、耳鳴りに効果的な呼吸法です。
🌿ステップ
ポイントは、「耳に意識を置きすぎないこと」
多くの方は耳鳴りが気になるあまり、無意識に「耳そのもの」に意識を集中させてしまい、かえって神経が過敏になります。
意識を下(丹田)におくことで、自律神経の“緊張モード”から“リラックスモード”へと自然に切り替わっていきます。
耳鳴りの悩みが長引く人の多くが口にする言葉があります。
「この音をどうにかしたい」「止めたい」「なんで治らないの?」
その気持ちは当然のことですが、実はこの“なんとかしなきゃ思考”が、交感神経を常に高ぶらせてしまい、耳鳴りを悪化させる原因にもなっているのです。
🌿思考を整えるための小さなヒント
東洋医学では、「心の持ち方」も体の状態に大きく影響すると考えます。
耳鳴りは“敵”ではなく、“あなたの思考の癖、気にしい、自己犠牲、生真面目、完璧主義・・・といったこれまでの心のあり方が体に負荷をかけてきて、いっぱいいっぱいになっているのを教えてくれているサイン”だと捉えることで、気の巡りが自然と穏やかになり、症状の和らぎにつながります。
セルフケアは基本的に安全ですが、以下のようなケースでは注意が必要です。
これらの方は、まず医療機関での確認や、東洋医学専門の治療院などでプロの判断を仰ぐことをおすすめします。
セルフケアで「ちょっと楽になった」と感じたあなた。
次は、普段の生活の中で自然に耳鳴りを軽くしていく方法をお伝えします。
「耳鳴りがあるから○○できない」ではなく、
「整った生活の中で、耳鳴りが薄れていく」状態を一緒に目指しましょう。
✅【第4回はこちら】▶耳鳴りは生活習慣で変わる|更年期と自律神経を整える過ごし方
また、耳鳴りの治療に関して詳しく知りたい方は、専用の解説ページをご覧ください。
大成堂中医針灸院
院長 藤田 勇
脳の反射を利用した刺さない鍼を用いて、
病院で検査や治療を受けても解消しない体の悩みに
どうしていいのかわからない人たちを治療。
大学病院(日本医科大学・自治医科大学)で
計10年以上鍼灸外来を担当。
鍼灸臨床歴20年、のべ19,000人以上を治療。
刺す鍼から、刺さない鍼へ
刺さない鍼は、ハーバード大学で認められた鍼灸治療スタイルと、
中国でレジェンドと呼ばれる老師達に学んだテクニックを組み合わせ、
日本で多くの先生達から学んだ知識と技術、
解剖学、生理学、心理学といった西洋医学の知識、
さらに20年の臨床現場での経験を組み合わせて熟成させた、
大成堂オリジナルの技術。
(昼休み13:30~15:00は電話がつながりませんので、LINEかメールをご利用ください)