32歳 女性 群馬県 伊勢崎市
平成28年7月6日
切迫早産のため帝王切開による出産後、一ヶ月経ったごろに突然動悸が出現。
Sさんは30代前半の女性。切迫早産のため帝王切開による出産をして一ヶ月経った頃に、突然動悸や息苦しさが出現しました。
夜間の救急外来にかかって、心電図の検査をすると、不整脈はあるものの問題のあるものではなくて治療不要と判断され一旦帰宅しました。
翌日、ふたたび循環器科で心電図や心エコー、採血、尿検査など詳しく検査をしても異常はみられず、気に病まなくて大丈夫だと言われてしまいます。
そうは言われても辛い事には変わりなく、他に方法は無いか探したところ鍼灸が自律神経を整えられると知り、ネットで調べて大成堂をみつけ連絡をされてきました。
一人で運転できない状態だったため、お母様に連れられての来院。
小さいお子さんを育てながらの今のお体の状態は、さぞ大変なことでしょうね。
まずは現在のお体の状態を教えていただけますか?
調子が悪くない時でも、またなるのではと不安に感じて、いつも無意識に心配してリラックスができません。
育児も大変で、常に気をはって心も体も休めずに疲れてしまっています。
病院の検査では異常が見つかっていないのですよね?
動悸が出た時のために薬が出されて、2週間でに2、3回使いました。
あまり気にし過ぎないようにと言われているのですが、辛くて・・・どうすれば良いのか分からなくて・・・
自律神経に鍼灸がよいと目にしまして、何とか助けてもらいたいのです。
まずはお体を調べて、いまどのような状態になっているのかみていきましょう。
脈を診ると早くて緊張しています。
案の定、交感神経が高ぶっている状態を表す脈です。
お腹を診ると、帝王切開の手術痕がみられ、これが実は精神活動に大きな影響を及ぼします。
後頭下筋の問題が見受けられました。これは内臓の働きをコントロールする迷走神経に影響するため、心臓に異常がないのに動悸が出る原因となります。
また、頚椎3番にも問題がみられました。
これは肝の問題で、肝は東洋医学的にストレスに関連してきます。
まずは週一回のペースで通院することが最善だとお伝えしました。
帝王切開の手術痕の状態を改善するためのツボを使用。
後頭下筋の緊張を緩めて、迷走神経を健全な状態にする。
頚椎3番を緩めて肝の状態を改善させる。
以上を中心とした施術を行いました。
使用したツボは、陰陵泉 中封 四瀆 崑崙 風池 術痕etc
更に毎日の自宅でのセルフ灸を指導。
初診(7月6日)
はじめて鍼灸を受けるため、小学生でも平気で受けられる無痛鍼による施術を行った。
ツボへの刺激による体の変化が早く、非常に素直に刺激を受け入れられるタイプだった。
このタイプは経過が速やかに改善していくので、その旨をお伝えた。
また末梢の循環が悪いので、夏とはいえ就寝時にあまり冷えないように、そして自宅でのお灸のアドバイスをした。
二診目(7月13日)
前回施術の後、数日はやや不安が軽くなる感じがした。
靴下をはいて、長袖で寝るようにしたら調子が良いとのこと。
お灸はアドバイス通り、毎日しているとのこと。
三診目(7月20日)
動悸、息苦しさはまだある。
母親が何気なく言った一言が、グサッと来て不安が強まった。
※初診から母親が付き添いで来院していたが、一人で来院するように。
四診目(7月27日)
動悸、息苦しさはまだある。首肩こりを感じる。
ランチには出かけられるようになる。
昨日、雨で家の中にいて、胸にもやっとする感じがあった。
※出産後に以前のズボンが履けなくなっているので、骨盤矯正を受けたいと思っていると打ち明けられた。
そのため、特別に骨盤矯正の施術も加えるようにした。
五診目(8月3日)
少し胸にもやっとする感じが出たことがあるが、それを引きずらなくなった。
「また悪くなったらいやだな」という不安がある。
※前回の骨盤矯正の施術で、ズボンが履けるようになったとのこと。
六診目(8月9日)
今日は、首肩の凝りを強く感じる。
夜は良く眠れるようになった。
冷えもあまり感じなくなった。
七診目(8月23日)
調子は悪くなかった。
最近、落ち込むことが無かった。
首がこって、脈が速いなと感じることが一回あった。
八診目(8月31日)
4日前、夜ご飯を食べている時に、急に呑み込めない感じになって、少しふっと不安を感じた。
夜中に寒さをかんじて、胸が苦しい感じがした。
気持ちがモヤモヤするのが一番嫌な感じ。
九診目(9月7日)
前回の治療後、不安はかなり薄らいだが、まだ少し残っている。
首がこわばっている感じがあった。
昨日悪寒を感じたが、お灸をしたら大丈夫になった。
十~十四診目(9月13日 28日 10月12日 25日)
状態が安定してきたので、二週間に一回の施術ペースに。
まだアップダウンはあり、時々の不安がふっと出ることもあるが長引かない。
十五診目(11月1日)
娘を長時間抱っこしていたら肩こりが強くなった。
次の日、朝起きたらどよーんと気分が落ちこんで、うつうつとした。
その次の日も首がこわばって、気分がどよーんとして、気持ちの切り替えができない。
十六診目(11月8日)
だいぶつらかった。
ドツボにハマっていた。
実家に帰ろうか考えている。
十七診目(11月15日)
夢をたくさん見る。
いろいろとネガティブなこと、最悪なことを考えてしまう。
カウンセリングを受けることにした。
十八診目(11月24日)
カウンセリングに行って来た。
納得するところがあったが、なにか机上の空論的な印象だった。
嫌なイメージは無くなったが、子供と二人きりでいることは不安に感じる。
母が来てくれたのに、イラッと感じてしまった。そばにいて欲しいのに、いて欲しくない矛盾。
十九~二十二診目(12月1日~12月29日)
やっと落ち着いてきて、すごく悪いという状態はなく、またなったら嫌だなという不安を感じる。
年末、年越しで忙しくしているのが、気が紛れて良いほうに転んでいるよう。
二十三診目(平成29年1月15日)
疲れや空腹の時に、気分が落ちやすいのが分かったので、それを避けるようにしている。
お正月はゴロゴロしていた。
状態が良いので、ふたたび二週間に一回の施術ペースに。
二十四診目(1月26日)
特に不安はなかった。
※この後、二週間に一回のペースで施術継続。特に問題も無く、不安もほとんど出るようなことも無く、現在もメンテナンスで通院中。
出産後に動悸、不安、息切れ、気分の落ち込みなどの症状に悩むSさん。
救急搬送されるような状態でしたが、検査では異常が見つからず、家では初めての育児に対するストレスや不安もあって、にっちもさっちもいかない状況でした。
当サイトのコラム、頭痛、めまい、メニエール、頚椎症、自律神経失調 首専門鍼灸師が教える、首が原因で起こる症状5つのタイプにも書きましたが、Sさんはまさにタイプ⑤が当てはまりました。
数回の施術後、動悸や息苦しさなどは出なくなりましたが、不安感がしつこく出ていました。
一時期、状態が良くなり、施術間隔を二週に一回にしましたが、まだ時期尚早で状態が後退し不安が強く出るようになってしまい、週一回のペースに戻しました。
この時、首肩コリを強く訴えているので、これが状態後退の原因と考えられました。
後頭下筋群と頸椎3番が原因であることが示唆されています。
実際ここを緩めていくことで、状態も改善しました。
約半年の施術で不安がほとんど出なくなり、二週に一回のペースで現在に至るまで施術を受け、状態は安定しています。
大成堂中医針灸院
院長 藤田 勇
脳の反射を利用した刺さない鍼を用いて、
病院で検査や治療を受けても解消しない体の悩みに
どうしていいのかわからない人たちを治療。
大学病院(日本医科大学・自治医科大学)で
計10年以上鍼灸外来を担当。
鍼灸臨床歴20年、のべ19,000人以上を治療。
刺す鍼から、刺さない鍼へ
刺さない鍼は、ハーバード大学で認められた鍼灸治療スタイルと、
中国でレジェンドと呼ばれる老師達に学んだテクニックを組み合わせ、
日本で多くの先生達から学んだ知識と技術、
解剖学、生理学、心理学といった西洋医学の知識、
さらに20年の臨床現場での経験を組み合わせて熟成させた、
大成堂オリジナルの技術。
(昼休み13:30~15:00は電話がつながりませんので、LINEかメールをご利用ください)