37歳 男性 群馬県 伊勢崎市
平成17年3月24日
まぶたが挙がらない(眼瞼下垂)
平成17年2月21日に、車を運転中に交通事故になり、左側頭部を強打する。
外傷性くも膜下出血になって大学病院に一ヶ月入院した。
言語障害や片麻痺などの症状が消失したので退院となったが、左動眼神経麻痺が残ったために眼科に通院加療をすることになった。
眼科医は半年間経過観察して改善が認められない場合は、形成外科による手術療法を考えましょうと言われた。
現在、ビタミンB12(メチコバール)を服用しているのみなので、他に積極的な治療をしたいという考えから、鍼灸治療の併用を希望して来院することになった。
眼瞼は完全に閉じていて開眼できない。眼球は、上方、下方には全く動かせず、内方に微かに動かせるのみ。瞳孔は開いていて、典型的な動眼神経麻痺の状態だった。
左側頭部と左眼瞼部に重みを感じる。左眼の周囲にわずかに浮腫がある。頭がボーッとなることがある。頭の回転が落ちている感じがする。
週三回のペースで治療をスタート。
動眼神経が支配する眼を動かす筋肉(上直筋、下直筋、内側直筋、上眼瞼挙筋)をダイレクトに刺激をする目的で、眼窩内刺鍼をおこなった。
※眼窩内刺鍼:眼球とそれを覆う骨のすき間に鍼を入れていく、高度な鍼のテクニック
使用したツボは、上明 晴明 承泣 魚腰 太陽 合谷 臂臑 足三里 太衝 etc
一回目の治療直後、わずかにまぶたが挙がっていた。
十回目の治療後、眼球の上下の動きが少し出てきた。
十三回目の治療(初回の治療から一ヶ月後)から、眼瞼部への棒灸による治療を加える。
十五回目の治療から、漢方薬の併用を始める。
桃仁、紅花、赤芍、川芎、黄耆、白朮、白芍、地竜、太子参、柴胡、甘草
二十回目の治療後、眼球の上下の動きが大きくなっている。
三十三回目の治療時、「以前に比べて鍼に刺される時の痛みを感じやすくなっている」とのこと。
これは、麻痺をして鈍かった状態から、正常な知覚に近づいてきた証拠と思われる。
三十八回目の治療時、一人で自転車に乗って来院した。
四十八回目の治療時、眼科医に「オペの必要は無く快復が早い部類に入る」と言われたとのことだった。
最終的には、合計で八十五回の治療で終了した。
動眼神経麻痺で手術適応となっていない場合、ビタミンの投与だけで、あとは神経の再生を受け身で待つのみになります。
そこに鍼灸治療が加わることで、
①眼球局所の血流を促し、一旦は麻痺状態となった動眼神経の再生を促進する可能性。
②神経が再生するまでの間、刺鍼による筋刺激により、筋の萎縮が防止できる可能性。
③積極的な治療法の無いこうした動眼神経麻痺に伴う眼瞼下垂状態に対し鍼灸治療を併用することは、患者さんの精神状態にも好影響を与えQOLを高めるとともに患者さん自身の内在性治癒力を高め神経機能回復を促す可能性。
といったメリットが考えられるので、積極的に鍼灸を受けたほうがよいと言えます。
交通事故により受傷して、はや3年の月日が経過しようとしています。
現在に至るも、上下方向の複視及び瞳孔の散大がやや認められますが、おかげさまで歯科治療の現場への復帰、あるいは車の運転が可能となるに至りました。
鍼灸治療を受診して実感したのは、神経系の治療(今回は外傷性の神経マヒですが)に大きな効果があるのではないかということです。鍼灸治療後の神経の活性化を実感したことは一度や二度ではありませんでした。
このような経験をしたことで、疾病を治癒させるには西洋医学、東洋医学を併用することにより、よりよい方向性を見い出せるのではないかと思います。
例えば、私の仕事では「親知らず」を抜歯後に、軽度の神経マヒを経験することがありますが、このような場合には薬剤投与のみならず鍼灸治療を併用するとよいのではないかと考えます。
いずれにしても、現在の状態まで回復した要因の1つに鍼灸治療があると感じます。
大成堂中医針灸院 院長 藤田先生には感謝に絶えません。
大成堂中医針灸院
院長 藤田 勇
脳の反射を利用した刺さない鍼を用いて、
病院で検査や治療を受けても解消しない体の悩みに
どうしていいのかわからない人たちを治療。
大学病院(日本医科大学・自治医科大学)で
計10年以上鍼灸外来を担当。
鍼灸臨床歴20年、のべ19,000人以上を治療。
刺す鍼から、刺さない鍼へ
刺さない鍼は、ハーバード大学で認められた鍼灸治療スタイルと、
中国でレジェンドと呼ばれる老師達に学んだテクニックを組み合わせ、
日本で多くの先生達から学んだ知識と技術、
解剖学、生理学、心理学といった西洋医学の知識、
さらに20年の臨床現場での経験を組み合わせて熟成させた、
大成堂オリジナルの技術。
(昼休み13:30~15:00は電話がつながりませんので、LINEかメールをご利用ください)