49歳 男性 埼玉県 深谷市
平成29年7月20日
左耳鳴り めまい
一年前のある日、突然耳鳴りを感じるようになったSさん、会社でめまいと吐き気が出現して病院に駆け込みました。
そのような発作が2回起こってからというもの、耳鳴りはずっと続いていて、めまいの発作も時々起こるようになってしまいました。
めまいの発作が起こるのは、だいたい天気の悪い時でした。
一時期、まったく発作が起こらなくなった時がありましたが、梅雨時に再びめまいの発作がおこるようになって以来、天気に関係なく突然起こるようになってしまいました。
めまいが頻繁に起こるようになったとのことですが、もう少し詳しく今までの状況を教えていただけますか?
しかし、会社で突然めまいと吐き気が出て、会社を早退して病院に駆け込みました。
病院で検査をしてもらったのですが、特に異常はみつからず、何が原因なのか分かりませんでした。
それからというもの耳鳴りはずっとしていて、天気の悪い時に突然めまいが起こるようになってしまいました。
数ヶ月して、一時期めまいが起こらなくなったのですが、梅雨時になってぶり返してからは、天気に関係なく週に何回もめまいが起こるようになってしまいました。
仕事に支障がでてしまい、いつ発作が起こるかとビクビクしています。
めまいの発作が起こった時の状況を、もう少し詳しく教えてください。
実は、首の問題でめまいが起こるケースが非常に多くあって、Sさんの場合もそれに該当する可能性が高いのです。
では、今から問題の原因を見つけていきたいと思います。
検査を行っていくと、
頚椎の三番の問題、椎骨脳底動脈循環不全のサインがみられました。
頚椎三番はめまいとの関係が深いポイントです。
椎骨脳底動脈は脳への血流に関与していて、ここに問題があるとめまいを引き起こします。
耳鳴りは、耳周囲のトリガーポイントが確認できて、この問題が直接耳鳴りの原因になるのと同時に、耳への血流にも悪影響をおよぼしていることが見受けられました。
これらの原因を改善させて、耳鳴りを鎮め、めまいの発作が起こらないようにしていきましょうとお伝えしました。
また、耳鳴りめまいが起こるようになったのと同時期に、むくみやすくなったとの情報が引き出されました。
お腹を触ると、非常に冷えていました。
週に一回のペースで治療をスタート。
使用したツボは、陰陵泉 四瀆 左曲池 難聴点 翳明 完骨 etc
初診(7月20日)
頚椎三番の圧痛と、椎骨脳底動脈循環不全のサインとなる圧痛ともに四瀆と外関への無痛鍼によって消去させました。
その後、耳周囲のトリガーポイントに鍼と灸をして緩め、施術を終了しました。
左外関に施術をする時に、左の中指、薬指、小指が切断されていることに気がつきました。
お話しを伺うと、15年ほど前に仕事中の事故で切断してしまったとのことでした。
実は、この左手の指が切断されていることも、左耳鳴りに関与するのですが、それは考察で触れたいと思います。
施術のツボに対してマーキングをして、自宅でのセルフ灸の指導を行いました。
二診目(7月27日)
前回の治療後、それまではめまいが起こると2時間は続いていたのが、10分程度でおさまるようになったとのことでした。
指導したセルフ灸もしっかりと行い、一回の施術で改善傾向がみられ前途洋々だと伝えしました。
前回と同じ施術を行い、一週間後に来院するようにお伝えしました。
三診目(8月2日)
前回の施術後めまいは起きていない。耳鳴りも小さくなっているとのこと。
引き続き、順調に改善傾向がみられているので、施術も変えず初診、二診目と同様に行いました。
五診目(8月24日)
めまいは引き続き起こっていない。「めまいが起こったら・・・」という恐怖心をずっと持っていたが、それもなかったと喜ばれていました。また耳鳴りも3分の2程度まで小さくなってきているとのことでした。
六診目(8月31日)
めまいは無かったが、仕事でじっと坐っている時にやや不安感を感じた。
この時期は梅雨と同じで、湿気が非常に多い季節です。この辺りがやや不安感を感じる状態に影響していると判断しましたが、今までの施術の積み重ねがあるので問題はないと判断しました。
なお湿気に関しては、上記の指の切断と合わせてめまいに影響をおよぼしますが、これも考察のところで詳しく触れたいと思います。
※1クール六回の施術を終えた時点で、かなりの改善傾向がみられているので、施術間隔を二週間に一回のペースに伸ばしても問題ないと判断し、その旨をお伝えしました。
七診目(9月14日)
めまい無く、耳鳴りも引き続き徐々に小さくなっている。
十診目(11月2日)
めまい無し。体調良い。耳鳴りは半分にまで小さくなった。
※状態が安定しているものの、将来まためまいが起こったらという漠然とした不安は持っているので、施術間隔を三週間に一回のペースに伸ばして引き続き施術を行ってい来ましょうとお伝えしました。
十三診目(1月5日)
めまい無し。耳鳴りは仕事中などは全く気にならず、静かな時に気になる程度。
※現在も三週間に一度のペースで施術をしながらセルフ灸を続けて、体調は非常に良い状態を維持できています。
今回のSさんは、突然の耳鳴りとめまいになやまされていましたが、実は突然に問題が起こったのではありません。
左の指を15年前に切断していますが、まずこのことが耳鳴りの原因となっています。
特に左の薬指と小指は、鍼灸医学では耳や頚椎三番と直接のつながりがあると考えています。
15年前の指の切断の影響が、耳やめまいを起こす首のさまざまな部分に徐々に影響をおよぼして、コップに水が徐々に溜まって最後にあふれ出るように、あたかも突然耳鳴りとめまいが起こったのです。
また、湿気がめまいの発作とリンクしていますが、東洋医学では「水毒」と呼んで、耳鳴りやめまいの大きな原因と考えられています。
耳鳴り、めまいが起こるようになったのと同時期にむくみ易くなったり、湿気のある季節に悪化しているのはそのためです。
Sさんは、指導したセルフ灸もまじめに継続してくれましたが、お灸は体内の余分な水分を捌いてくれる働きがあるので、このことも改善を速める要因となったと考えられます。
なによりも、Sさん自身が積極的に治して行こうという意思をもって継続して来院されたことが、良い結果につながりました。
Sさん、将来仕事を続けられるかという不安が解消されて本当に良かったですね。
もしこれをお読みのあなたも同じような症状で悩んでいるのでしたら、Sさんのように積極的に治して行こうとする意思をもつことが、今の状況を改善する一歩になる事を知って欲しいと思います。
大成堂中医針灸院
院長 藤田 勇
脳の反射を利用した刺さない鍼を用いて、
病院で検査や治療を受けても解消しない体の悩みに
どうしていいのかわからない人たちを治療。
大学病院(日本医科大学・自治医科大学)で
計10年以上鍼灸外来を担当。
鍼灸臨床歴20年、のべ19,000人以上を治療。
刺す鍼から、刺さない鍼へ
刺さない鍼は、ハーバード大学で認められた鍼灸治療スタイルと、
中国でレジェンドと呼ばれる老師達に学んだテクニックを組み合わせ、
日本で多くの先生達から学んだ知識と技術、
解剖学、生理学、心理学といった西洋医学の知識、
さらに20年の臨床現場での経験を組み合わせて熟成させた、
大成堂オリジナルの技術。
(昼休み13:30~15:00は電話がつながりませんので、LINEかメールをご利用ください)